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飲食料品の消費税率1%へ 事業者向け特例措置や国税庁の特設サイトも

2026/11/05

 政府は10月9日、飲食料品に係る消費税率を令和9年4月から2年間、1%に引き下げることなどを盛り込んだ法案を閣議決定し、同日、国会に提出した。9月15日に閣議決定した大綱を法案化したもので、税率引下げに伴う事業者向けの特例措置に加え、一定の勤労所得がある人に支援金を支給する制度も盛り込んでいる。

 
今回、閣議決定されたのは「租税及び社会保険料による負担の軽減のための飲食料品に係る消費税率の臨時的な引下げ及び就業者負担軽減支援金の支給に関する法律案」。令和9年4月1日から令和11年3月31日までの2年間に限り、飲食料品に係る消費税率を現在の8%から1%(国・地方合計)に引き下げるとしている。

 税率1%の対象となる飲食料品の範囲は、現在の軽減税率8%の対象と同じ。スーパーなどで販売される食品のほか、飲食店の持ち帰り(テイクアウト)や出前・宅配なども対象。外食や酒類は対象外で、引き続き10%が適用される。定期購読契約に基づき週2回以上発行される新聞については、従来どおり8%となる。

 税率変更に伴う経過措置も設けられる。原則として令和9年4月1日以降の飲食料品の販売には1%が適用されるが、一定の定期供給契約や通信販売に基づくものについては、従来の8%が適用される場合がある。

課税事業者選択や簡易課税 届出時期などに特例措置

 税率引下げに伴い、事業者の税負担や事務負担に配慮した各種特例も設けられる。

 現行制度では、免税事業者が課税事業者となる場合、原則として課税期間開始前に届出書を提出する必要がある。そこで、飲食料品を販売する免税事業者が、令和9年4月1日の属する課税期間中に「課税事業者選択届出書」を提出した場合には、その課税期間から課税事業者となることができる。例えば、個人事業者の場合、令和9年中に届出書を提出すれば、同年1月1日から課税事業者となる。その際、同日から3月31日までの間に行う飲食料品の販売については、税率8%を適用して消費税の申告を行うことになる。

 簡易課税制度を適用している事業者についても特例が設けられる。通常、簡易課税制度の適用をやめる場合は、原則として課税期間開始前に届出書を提出する必要がある。そこで、飲食料品を販売する事業者については、令和9年4月1日の属する課税期間中に「簡易課税制度選択不適用届出書」を提出すれば、その課税期間から一般課税(本則課税)に変更できる。また、簡易課税を選択した場合、原則として2年間はその適用を継続する必要があるが、飲食料品を販売する簡易課税事業者の令和9年4月1日の属する課税期間については、この2年間の継続適用要件(いわゆる2年縛り)も適用されない。

 飲食料品を販売する事業者が簡易課税制度を適用して申告する場合、業種区分に関わらず、飲食料品の販売(1%対象)に係る売上税額と同額の仕入税額を計上することとされる(この場合、その他の売上税額にみなし仕入率を乗じた額との合計額を仕入税額控除する)。これは、2割特例・3割特例を適用する場合も同様。

 このほか、中間申告制度についても特例が設けられる。令和9年4月1日以後に開始する中間申告対象期間に係る中間申告を行う場合、その直前課税期間の飲食料品に係る売上げ・仕入れに税率1%(令和11年4月1日以後に開始する場合は8%)が適用されたものとしたときの消費税額に基づく中間申告税額を記載した、仮決算による中間申告書を提出することができる。

値札の貼り替えに配慮 総額表示義務にも特例

 税率変更に対応した総額表示を直ちに行うことが難しい場合、令和9年2月1日から5月31日までの間は、飲食料品について、実際の支払額と誤認させない掲示などをしていることを条件に、税率8%または1%による総額表示をしておくことが認められる(新旧税率が混在した価格表示も認められる)。

 困難な事情とは、例えば、夜間の値札の貼り替え作業に対応できないことや、カタログや商品パッケージなどに価格が印刷されていることなどの理由から、適切な税率での総額表示が間に合わない場合が想定されている。なお、税抜価格(本体価格)のみを表示するなど税込価格を表示しない方法は、引き続き認められない。

就業者への支援金も導入 所得など4つの支給要件

 法案には、令和9年度から「就業者負担軽減支援金」を導入することも盛り込まれた。支給対象となるのは、①勤労所得の額が政令で定める額を超える、②合計所得金額が政令で定める額以下、③税・社会保険料の負担額から公的年金等の収入額を差し引いた額が政令で定める額を超える、④配偶者の合計所得金額が政令で定める額以下(令和9・10年度の支給を除く)の4つの要件を満たす人で、原則として年1回支給される。

 勤労所得とは、給与収入に応じて算定した額と、一定額を超える事業所得および業務に係る雑所得の合計額をいう。各要件の基準額は、税制や社会保険制度の状況、就業促進への効果、純負担率の状況などを考慮して政令で定める。

 支給額についても、国内外の純負担率の状況や就業促進への効果を踏まえ、前年の所得額や19歳未満の居住扶養親族の人数(令和9・10年度は16歳未満の扶養親族の人数)などに応じて政令で定めることとしている。

国税庁が特設サイト開設 各種事例のQ&Aを掲載

 国税庁は9月15日、ホームページ上に「消費税率引下げ特設サイト」を開設した。同サイトでは、税率引下げの概要をまとめたパンフレットなどを通じて、対象品目や適用税率、特例措置などを分かりやすく紹介するほか、「飲食料品に係る2年間の消費税率引下げに関するQ&A」も掲載されている。

 例えば、令和9年3月31日以前に販売した飲食料品が税率引下げ後に返品された場合、販売時に適用された8%の税率に基づいて調整計算を行うと説明。

 インボイスへの記載については、税率1%の対象取引では適用税率と消費税額等を記載する一方、それ以外の記載事項に変更はなく、従来の「軽減税率の対象品目である旨」の記載を「税率1%の対象品目である旨」に変更する必要もないとしている。

 今回の税率引下げは法案の成立が前提となる。国税庁では、今後も特設サイトを通じて最新の情報を随時掲載していく予定だ。

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